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「おはよー」
「おーっす」
ガヤガヤしている教室に入ると、いつも通りの机に座る。
昨日の事なんてなんにもなかったかのように、平和な朝を迎えていた。
「大輔くーん!昨日何で来なかったのー?」
と猫なで声のクラスの女子が2・3人寄ってきた。
「あー…ちょっと、家の用事で」
申し訳ない、と言う顔をし適当な理由を作って答えると、
「今日は!?暇なら今日一緒に行こうよ!」
とその女子の中の一人が言ってくれた、が…
「ごめん、放課後は友達と会う約束があるんだ」
と断った。
嘘は着いていない。放課後はアルトとジルに会う事になっている。
一晩中、俺の家の外の目立たない所で見張りをしていてくれた彼は、睡眠を取る為に屋敷に帰って行った。帰る際、
《学校が終わったら、話しがあるから屋敷に来て貰えるかな?》
と告げられた。自分の命もかかってるので、当たり前のように了承した俺は、
今日もまた昨日のように、放課後はあの古びた廃虚に向かう。
だが、昨日とは少し違う。廃虚が怖いと感じ無る事はない。
むしろ、新しく出来た友達に会えるのが楽しみで、放課後が待ち遠しいくらいだ。
―――……まぁ、話しの内容以外は。
「なんだよー、昨日といい今日といい…もしかして、女でもできたんか?」
ひょっこり現れてニヤニヤしながら言って来た純に、
「ちげーよ!」
と突っ込むが、女子達がその言葉に反応してきた。
「そうなの!?」
「誰、誰?」
「この学校の人?」
と、質問責めが始まった。「だから違うって…」となだめる俺が横を見ると、
純は肩を小刻みに振るわせて笑いを耐えていた。
《こいつ…後で覚えてろよっ!》
純を睨みつけると、ニヤニヤしながらそっぽを向いていた。
――ガラガラガラ――
と言う音と共に、担任の先生が入って来て、ホームルームが始まった。
「お前ら、席に着けー!」
と言う担任の言葉に、女子達がしぶしぶ自分達の席に戻って行った。
ほっと安心した俺は、後ろの席にいる純に小さい声で、
「お前、後で覚えてろよ!」
と囁いたが、純は頬杖をつきニヤニヤしながら、
「モテる男は大変だねー」
と尚も茶化してきた。
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