◆3◆ 日常の中の非日常

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「おはよー」 「おーっす」 ガヤガヤしている教室に入ると、いつも通りの机に座る。 昨日の事なんてなんにもなかったかのように、平和な朝を迎えていた。 「大輔くーん!昨日何で来なかったのー?」 と猫なで声のクラスの女子が2・3人寄ってきた。 「あー…ちょっと、家の用事で」 申し訳ない、と言う顔をし適当な理由を作って答えると、 「今日は!?暇なら今日一緒に行こうよ!」 とその女子の中の一人が言ってくれた、が… 「ごめん、放課後は友達と会う約束があるんだ」 と断った。 嘘は着いていない。放課後はアルトとジルに会う事になっている。 一晩中、俺の家の外の目立たない所で見張りをしていてくれた彼は、睡眠を取る為に屋敷に帰って行った。帰る際、 《学校が終わったら、話しがあるから屋敷に来て貰えるかな?》 と告げられた。自分の命もかかってるので、当たり前のように了承した俺は、 今日もまた昨日のように、放課後はあの古びた廃虚に向かう。 だが、昨日とは少し違う。廃虚が怖いと感じ無る事はない。 むしろ、新しく出来た友達に会えるのが楽しみで、放課後が待ち遠しいくらいだ。 ―――……まぁ、話しの内容以外は。 「なんだよー、昨日といい今日といい…もしかして、女でもできたんか?」 ひょっこり現れてニヤニヤしながら言って来た純に、 「ちげーよ!」 と突っ込むが、女子達がその言葉に反応してきた。 「そうなの!?」 「誰、誰?」 「この学校の人?」 と、質問責めが始まった。「だから違うって…」となだめる俺が横を見ると、 純は肩を小刻みに振るわせて笑いを耐えていた。 《こいつ…後で覚えてろよっ!》 純を睨みつけると、ニヤニヤしながらそっぽを向いていた。 ――ガラガラガラ―― と言う音と共に、担任の先生が入って来て、ホームルームが始まった。 「お前ら、席に着けー!」 と言う担任の言葉に、女子達がしぶしぶ自分達の席に戻って行った。 ほっと安心した俺は、後ろの席にいる純に小さい声で、 「お前、後で覚えてろよ!」 と囁いたが、純は頬杖をつきニヤニヤしながら、 「モテる男は大変だねー」 と尚も茶化してきた。
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