◆3◆ 日常の中の非日常

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この純は、高校に入ってから一番仲良くなった友人だ。 まぁ、今どきの高校生といった感じで、 黒い少し長い髪をワックスで立てていて、ちょっとつり目で鼻筋の通った顔は、けっこう格好いいと思う。 制服も着崩しているが書道部部員というギャップがいいのか、女子にけっこうモテている。 まぁ、愛嬌のある性格もまた、彼の魅力ではあるのだろうが。 「お前のがモテてんだろ!!」 と言うと、 「まぁ、このかっこよさじゃ女子がほっとかねーよな」 なんて、冗談混じりに言ってきた。 俺が「出たよー」と笑っていると、 「見上、美園…聞いてんのか!」 と怒られた。美園は純の名字だ。 「…すいません」 と2人で謝り、その後のホームルームは静かに話しを聞いていた。 ―――――… 面倒臭い1・2限の授業が終わり、 購買でパンと飲み物を買った俺と純は、天気もいいし、外で昼飯を食べる事にした。 校舎の敷地内にある、草や木の生えていて陽当たりは良いが、人のあまり来ない場所に腰を下ろした。 2人で見つけた秘密のサボりスポットだ。 パンの袋を開けて食べ初めると、 「ちくしょー…誰だよ俺の焼きそばパン買った奴は…」 と文句を言いながら純は俺を睨みコロッケパンを食べている。 「こっち見ながら言うなよ、最後の一個だったんだから仕方ないだろ」 ふんっ、と怪訝そうな顔をしながら、コチラを恨めしそうに見ている純に、わざと見せびらかすように焼きそばパンを食べる。 「朝の仕返しだよ」 と言ってやると、彼は「うっ」という顔をしていた。 「そういや、大輔モテんのに彼女つくんねーよなー?何で?」 「別に、好きなヤツもいねーし。そんなん言ったら、純だっていないじゃん」 俺が答えると、 「俺はいーの!書道が恋人なの!文字より好きな女なんて、出来る気しねーもん」 正直こいつは完璧に書道オタクだ。 けっこう上手くて、凄い償を取って全校集会で表彰されてるのを何度か見た事がある。 この間かなり熱く文字や筆の良さについて語られたが、さっぱり理解出来なかった。 「大輔の好きな奴ねー…そいえば、どんなんがタイプなん?」 聞かれて少し悩んでいるとガサガサと人の足音が聞こえた。
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