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「あー憂うつー……」
決して噂や外観で怖がっている訳では無い。
只の噂ならそんなに気にはしないし、そもそもお化けとか妖怪とかの類いも信じていない方だ。
しかし、疑わしく思わざるをえない出来事が起きてしまったのだ。
それは、昨日の夜までさかのぼる。
―――昨夜―――
「おじいちゃん家に煮物のおすそ分け届けてきて」
そんな母の頼みを受けて、俺はじいちゃん家に煮物を届けに行くことになった。
いつものように自転車で住宅街を走りぬけ、じいちゃん家のある森を目指した。
じいちゃん家は町からちょっと離れた所にある森の近くで、森の手前にはちょっとした原っぱと畑が広がっている。
その畑はじいちゃんの所有地で、季節ごとによく野菜をもらったりもしている。
家からじいちゃん家までは、チャリで大体15分くらい。
畑から森までは原っぱが広がり、森の手前にあるじいちゃん家までは、車や人が通るための砂利道がある。
その足場の悪い道を4~5分ほどまっすぐ進むとじいちゃん家に着くのだが、俺は昔からその道が好きではなかった。
なにせ、その道の途中には『あれ』があるのだ。
かなり古い洋館。子供の頃は『あれ』のせいで一人でこの道を通れなかった。
さすがにこの歳になると平気‥むしろ好奇心がわいて来るくらいだ。
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