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「ハァっ……はぁ…はっ…」
住宅街まで孟スピードで自転車をこいだせいで、息は切れるし、汗も半端ない。もう散々だ。
《なんだったんだ今の!?めっちゃ怖ぇ……あれ?》
ない…ないない!ない!!何処を探しても見当たらない。
「俺の……ケータイ……」
やってしまった。
何処で落としたかは心あたりがある…。とゆうか、記憶を辿ると、どう考えてもあそこで落としている。
焦って駆け出した所、携帯が鳴った場所、叫び声が聞こえた瞬間、俺の手からすり抜けたのは紛れもなく携帯だった。
「……っあー!!」
顔に手を当て、その場にしゃがみこむ。
《やっちまった》
思いながらもとりあえず家に帰り、一部始終を家族に話したら馬鹿にされてしまった。
「夢でも見たんじゃないのか?寝ぼけてんなよー」
とか、
「いい歳して何言ってんのよ、ビビりすぎて幻聴聞いたんじゃないのー?」
とかとか、姉や父が茶化すように言ってくる。
一緒に取りに行ってやろうかと言われたが、馬鹿にされ、ふて腐れてしまった俺は、
「…明日一人で取りに行くからいい」
と、救いの手をはね退けてしまった。元々人は近よらない場所だし、盗まれる事はないだろう。
明日の放課後にでも、まだ明るい内に行けば怖くもない…と思いたい。
あれは幻聴だったのだと、不本意ながらも自分に言い聞かせ、飯を食べて風呂に入った。
嫌な事は忘れて、眠る事にしようと、布団に潜り込んだ。
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