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とまあ、そんなこんなでまた廃虚に戻ってきたわけだが、昨日の今日じゃさすがにまだ怖かった。
明るければ怖くないなんて思った自分の浅はかさを呪いたくなる。
こんなにビビッている自分自身にも情けなさを感じつつ、深呼吸をして門を開け、例の場所へとゆっくり慎重に歩いて行く。
こんなに怖いのならば、やっぱり友人に付き添って貰えばよかった。しかし、昨日の家族の反応を思い出し、どうしても言い出す事ができなかったのだ。
どうせ、あいつらも父さんや姉ちゃんみたいに爆笑するに決まってる。
家の中ならまだしも、学校でまで茶化されて、暫く笑いのネタにされるのは抵抗がある。
ネタになるのは嫌いじゃないが、これは流石にカッコ悪すぎる。
でも今、そのあまりないはずのプライドにより取ってしまった行動をかなり後悔している所だ。
《付いてきて貰えばよかったー……》
なんかもう死ぬんじゃないかと思いつつ、でもお化けなんかどうせいないだろ、と楽観視もしつつ、重い足取りでその場所まで辿り着いた。
しかし―――、
「あれ…」
無い?
撮られたか?いや、そんな筈は無い。こんな所にそうそう人が来るとは思えないし。
まぁ、だからといって来ないとも限らないのだが。
もしかして、家族が俺のあまりの怯え様を見て取りに来てくれたのだろうか?
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