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いやいやいや、早まるな自分。もしかしたら、実は管理人さんとかがいて、見つけて分かり易い所に置いておいてくれたのかもしれない。
もしくは住人がいるのかも。いや、この荒れ具合でそれはないであろうか。
しかし管理人説は有力だ。昨日の声も、その人の物かもしれない。
そう考えていたら、急に怯えてるのが馬鹿らしくなってきた。
《てゆうか、ちょっと恥ずかしい……》
なぁんだ、と思った俺は恥ずかしさから少し口元を緩めて、締まりの無い顔で屋敷の入り口へと向かった。
――トントントン――
「すいませーん、ごめんくださーい!!」
何度かドアをノックして叫んでみたが返事が無い。
ドアノブを回してみると、鍵はかかっておらずガチャッと音を立てて簡単に開いてしまった。
《開いちゃった、入っていいのか?》
あんな分かり易い所に置いておいてくれたんだし、きっと勝手に取って行く事を想定しているんだろうと考え、中に入る事にした。
「……お邪魔しまーす」
一応声をかけ、中に入る。
廃虚の中は不思議な造りになっていて、廊下がまっすぐに伸び、等間隔に十字路が3つあり、向こう側の壁際には2つの螺旋階段があって、互いに交差し合っている。
正直2階まで行く勇気は無いので、さっさと携帯のあるであろう部屋に向かった。
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