◆1◆ 古びた廃虚

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いやいやいや、早まるな自分。もしかしたら、実は管理人さんとかがいて、見つけて分かり易い所に置いておいてくれたのかもしれない。 もしくは住人がいるのかも。いや、この荒れ具合でそれはないであろうか。 しかし管理人説は有力だ。昨日の声も、その人の物かもしれない。 そう考えていたら、急に怯えてるのが馬鹿らしくなってきた。 《てゆうか、ちょっと恥ずかしい……》 なぁんだ、と思った俺は恥ずかしさから少し口元を緩めて、締まりの無い顔で屋敷の入り口へと向かった。 ――トントントン―― 「すいませーん、ごめんくださーい!!」 何度かドアをノックして叫んでみたが返事が無い。 ドアノブを回してみると、鍵はかかっておらずガチャッと音を立てて簡単に開いてしまった。 《開いちゃった、入っていいのか?》 あんな分かり易い所に置いておいてくれたんだし、きっと勝手に取って行く事を想定しているんだろうと考え、中に入る事にした。 「……お邪魔しまーす」 一応声をかけ、中に入る。 廃虚の中は不思議な造りになっていて、廊下がまっすぐに伸び、等間隔に十字路が3つあり、向こう側の壁際には2つの螺旋階段があって、互いに交差し合っている。 正直2階まで行く勇気は無いので、さっさと携帯のあるであろう部屋に向かった。
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