第一章 逆転シンデレラ

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「あちらの娘達は如何でしょうか」 「えっと…」 「ピアノの前に陣取っている者達です」 さて、王子が側近の視線を辿ると そこには橙色であしらったドレスを纏った赤茶髪に色眼鏡という異色なファッションの朗らかなそうな娘と 対照的に青色のドレスを纏った不機嫌な黒髪ショートヘアな眼鏡の娘が並んでおりました。 不機嫌というよりは、赤茶髪の娘に微弱ながら殺意が感じられます 此処からではしかとは分かりませんが、どうやら青色の娘が羽目を外している橙色の娘の目付けをしているようです。 「いえ……あれは…ち、ちょっと……」 「どちらもお気に召しませんか」 「……は、はい……」 「ではあちらの娘達はどうでしょう」 側近が再び指差した方向には 優雅にファー付きの扇子で扇ぐ紫の貴婦人と、獰猛な獣のように周りを威嚇する金髪の黒いゴシックドレスの娘がいました 「いや…あれもどうかと…」 そう呟いた瞬間、王子はその紫の貴婦人と目が合いました 「Σひっ…;」 ものを言わせぬ威圧感に王子は逃げ腰になり すぐさま目を逸らしました 直視できる物ではないという王子の本能が警告したようです そんな様子の王子に、側近はため息をつきました 「王子…いい加減候補を決めていただかねば、こちらとしても話が進みません」 「わ…わかってますけど…でも…」 王子はどうしても気に入る娘がいないようで どうにもこうにも舞踏会に嫌気がさしてきました
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