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昔々あるところに、シンデレラという名の青年、……いえ、少女がおりました。
シンデレラは白と黒のコントラストが美しい短髪に、オレンジ色の瞳をした大層可憐な娘でしたが、一緒に暮らしている継母と義姉から手酷い扱いを受けていました。
「………なんで俺がシンデレラやねん…」
アミダくじの結果の賜物ですが、劇中設定に合わせて下さいシンデレラ。
「…あ―――――……のクソ親父があんなんと再婚しよるからこないな目に遭わされたんや、くたばれ恭一郎ォォォ!」
(すまない響…これもお前を守るためなんだ…)
亡き父恭一郎の声が聞こえた気がしましたが
シンデレラにその声が届くはずもなく
鬼のような形相で床を雑巾でガシガシと擦るシンデレラは今は亡き父への恨みつらみを吐き捨てます。それでも律儀に手を休めない辺り、生来の生真面目さが滲み出ているようです。
さて、シンデレラが殺気立ちながら掃除をしていると、広間へと続く階段を二つの人影が彼女へ向かって下ってきました。
「あんなのとは失礼な、シンデレラ。
追加のワックス掛けもお願いしましょうか」
一人は、穏やかに微笑みながらも瞳は笑っていない継母でした。
継母は日を透かすような飴色の髪を、どうにかこうにか後ろへ持っていきアップにしています。纏うドレスは藍色に近い紫色と白を基調にした品の良いものです。ぱっと見ただけでは女性にしか見えません。
そんな継母を見たシンデレラは当然若干引きました
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