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「蓮…」
「…嘘です。冗談です」
諦めたように名を呟くと、瞳を伏せ蓮はゆっくりと掴んでいた手を離した。
「すみません。思いっきり掴んじゃったんで、痛いですよね」
手首をさする俺に、蓮は申し訳なさそうに頭を下げる。
「別にどうってことねーよ」
痛がる素振りを見せるのも癪に思えて、俺はさするのを止めた。
蓮が何を考えてるのか、さっぱり判らない。
とにかく助かったのは間違いないんだろうけど。
「要は…、オレが怖いですか?」
「は?どうして俺がお前を怖がらなくちゃいけねーんだよ」
蓮の問いかけに、俺は動揺を隠すかのように早口で答えた。
「だって、オレは要を襲ったわけだし」
「だから、それは忘れろって言っただろ!俺も気にしてねーから」
一気に言い切って、俺は大きく息をついた。
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