Vol.01 「要。大好き」

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「蓮…」 「…嘘です。冗談です」 諦めたように名を呟くと、瞳を伏せ蓮はゆっくりと掴んでいた手を離した。 「すみません。思いっきり掴んじゃったんで、痛いですよね」 手首をさする俺に、蓮は申し訳なさそうに頭を下げる。 「別にどうってことねーよ」 痛がる素振りを見せるのも癪に思えて、俺はさするのを止めた。 蓮が何を考えてるのか、さっぱり判らない。 とにかく助かったのは間違いないんだろうけど。 「要は…、オレが怖いですか?」 「は?どうして俺がお前を怖がらなくちゃいけねーんだよ」 蓮の問いかけに、俺は動揺を隠すかのように早口で答えた。 「だって、オレは要を襲ったわけだし」 「だから、それは忘れろって言っただろ!俺も気にしてねーから」 一気に言い切って、俺は大きく息をついた。
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