913人が本棚に入れています
本棚に追加
/133ページ
怖くないと言えば嘘になる。
蓮の瞳が俺の心を射抜くように感じたのは、蓮が怖かったからだ。
だから、たかが手首を押さえつけられたぐらいで動けなくなってしまった。
蓮には忘れろって言っておきながら忘れられないのは俺の方だ。
キスをしたことすら忘れられなかった俺が、あんな事をして忘れられる訳がない。
大体、男に無理やりヤられるなんて、そんな屈辱的なこと忘れられるか。
「…どうしたら、この想いを受け止めてもらえますか?」
まるで捨てられた子犬みたいな瞳が俺を映していた。
「なんだよ、突然」
さり気なく蓮から視線を逸らして、俺はフェンスの向こう側に目をやる。
そんな目で見んなよな…。
下のグラウンドでは、すでに始まっている授業でサッカーをやっているようだった。
最初のコメントを投稿しよう!