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「これじゃ無理ですね」
目の前の扉を見て、蓮がため息にも似た声を漏らした。
両開きの扉の取っ手には、開かないようにとチェーンがグルグル巻きにされている。
そしてそれをダイヤル式の鍵が固定していた。
「それが無理でもねーんだよ」
少し自慢気に言って、俺はダイヤルの数字を回し始めた。
0…9…1…0…と。
心の中で呟きながら合わせるとカチリとロックが外れる。
「ほんとだ」
「だろ?」
得意気に蓮を見ると、その顔があまりにも近くにあって、俺は慌てて視線を扉に戻した。
忘れてた………わけじゃないけど
俺と蓮は…
「…もしかして、やらしい事考えてません?」
おぼつかない手付きでチェーンを外す俺の耳元で、蓮が囁き息を吹きかけてきた。
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