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彼と出逢ったのは20歳の初夏。ナンパがキッカケ。
母の日の贈り物を百貨店で吟味してる私に彼がヒトメボレをした、ということになってる。
日傘にしようか、扇子にしようか迷っていた。
だけど婦人って、何で藤色が好きなんだろうねぇ。
好きが極まって、髪色まで藤子ちゃんになってる人もいるじゃん。母親がそんなご年配にならない事を祈ります・・・。
そんな私に声をかけたのが彼だった。
「ごはん食べない?」
藤色の扇子と日傘を持って思いに耽る私に声をかける中年男性。
明らかに迷惑顔で断る私に、彼は何回も言った。
「ジュ-スだけでも飲もう。」
「いりません。もう帰りますから。」
いい気になって冷たくあしらう私。
何回か熱心な誘いと冷たいお断りを二人で繰り返す。
店員さんが纏わりついてこないのは助かりますが。
ついに諦めた彼。
‘やっと離れたかぁ~’
と彼が背中を向けて反対方向を歩き出したのを確認して、
私はまたフラフラ自分のアクセサリーなんかを見てた。
若い世代のブランドでも薄パープルのアクセがチラホラある。流行りかな~??
‘オバサマの色’としか今まで見えなかったのに、有名メーカーから発売されてると、イイ色に見えくる。
モノを見る目って突如変わる。
モノには‘物’と‘者=人’がある。
そう気づかされるこれからの私の運命。
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