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「大丈夫ズラ?」
「アニキ急がないとボスにどやされちゃいますよ~」
「あぁ…すぐ行く。マーカス達は先にいっててくれ」
二人の男は足早に立ち去る。
残る一人がゆっくりと立ち上がるとに金髪の少年に向かって手を差し延べてきた。
「悪かったな。急いでたもんでよ、怪我はないかいお嬢さん」
金髪の少年は腰をおとしたままその手を掴むと、
「僕はお嬢さんじゃあない」
そう言って思いきり引っ張った。
バランスを崩した赤毛の少年は入れ代わりに前に倒れる。
金髪の少年は立ち上がり衣服の汚れを掃い、またぽつぽつと歩き出した。
道の先は喧騒が鳴り響き、人がごったがえしている。
奥にいた一人がこちらを指差し、何か大声で叫んだ。
「おぃ!!あそこにいる奴、あいつらじゃないか?そこの屋敷に忍び込んだ賊は!?」
(“あいつら”って…ちょっと待て。僕も賊の仲間になってる?)
そう思った刹那、グイッと強い力が加わったかと思うと、
「逃げるぞ」
と、言う赤毛の少年に手を引かれ共に走りだしていた。
「ちょっ…ま」
それから先は無我夢中で走った。というか走らされた。
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