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だが、刹那は出海に疑問を感じざるを得なかった。
〝そう〟見えないのだ。
刹那(いや、しかし私が剣を突きつけた時も平然としていたが……どう見ても隙だらけ)
一体何者なのか。
そんな刹那の視線を知っているのかいないのか、出海は髪を掻きながら仕事の報告をした。
出海「それで、ここに来るまでに大抵は見回ったが異常はなかった。そっちは?」
真名「こっちもだ」
刹那「えっ、あ、はい。こちらも問題ありませんでしたっ」
それを聞いて、出海は微笑う。
出海「んじゃ、今日は大丈夫そうだな」
魔物共は基本夕刻時と日の変わる零時付近に現れる事が多い。
理由は……聞いたような気もするが全く興味がなかったので覚えていない。
真名「そのようだな。これ以上は金にならないことだし、先に上がらせて貰おう」
出海「ああ」
刹那「私はもう少し見回ることにする」
真名が二人の返答を聞くと、颯爽と翔び去った。
刹那「では相楽さん。私も──」
出海「その前に」
出海が刹那の言葉を遮る。
刹那「? なんでしょう?」
首を傾げる刹那に出海は二本の指を立てる。
出海「二つ。桜咲に言いたいことがある。一つは………………刀返して」
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