その男 相楽出海

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刹那「あっ、すみません相楽さん!」 出海「それともう一つ」 慌てる刹那から出海は刀を受け取りながら、指を一本畳む。 出海「あまり名字で呼ばれたくない。できれば名前で呼んでくれ」 刹那「え、ですが……」 いきなり名前で呼べと言われて刹那は戸惑う。 出海「嫌い……ではないんだが、ちょっとな」 困ったように苦笑する出海を見て、 刹那「わかりました。相が、出海さんっ」 うむ。お約束だ。 出海「それじゃ、俺も刹那と呼ばせてもらおう。名前の方が呼びやすい」 刹那「はい。構いません。……それでは出海さん。これからお願いします。おやすみなさい」 出海「おう。おやすみ」 刹那はペコリとお辞儀をすると、真名同様に跳び去り、夜の闇に消えた。 刹那が消えた先を見る出海の顔には、柔らかな笑みがあった。 出海「近くで見たのは久々だが……元気で何よりだ。ま、成長したかと言えば、色んな意味でまだまだだけどな」 真名と間近で比べるとよく解った。まあ、真名はでかすぎとも言えるが。 出海「さてと、帰りますか」 この時、出海は何かが始まる、そんな予感がしていた。 そして、その予感の意味が何なのか、どこか楽しみにしていた。
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