2682人が本棚に入れています
本棚に追加
おそらく、京都に鬼妖の類が現れ、人を襲ったのはその時が初めてであったろうしな。
それに対抗する者がいなかったのは普通だ。
出海「その時だ。一人の放浪の術士が都を訪ねた。そいつは大陸より渡来した優れた術士でな、次々と鬼妖を鎮め…………、ついに元凶であった鬼王までもある石像に封印することに成功した」
封印に使われた石像は今も相楽家の地下にある祭壇に祀られていたり、その術士が【関西呪術協会】の元となる組織を立ち上げたというのは今は余談だ。
明日菜「へー、それで一件落着ってやつ?」
出海「ま、一件落着といえばそうだ。が、お話にはまだ続きがある」
ネギ「続き?」
出海「てゆうか、こっからが本題だな。──鬼王が封印されておよそ五〇〇年の後、封印の力が弱まり、鬼王は再び現世に降臨したんだ」
明日菜「それって滅茶苦茶ヤバいんじゃない?」
出海「大変だったろうな。何せ五〇〇年前に京都を亡ぼさんとした存在だ。封印されたことによりさらに怒り憎しみを増した鬼王は脅威以外の何者でもないだろ。
それでも、五〇〇年前と比べて陰陽師という役職があり、かつて鬼王を封印した術士の術も引き継がれていた故、その被害はしばらく抑えられた。
そして…………、また京都は救われた」
一人の陰陽師によって。
出海「そいつは古今の陰陽師の中でも逸脱した才能を持ち、かつて鬼王を封印した術士の全ての術をも極め、自ら新たな型を作り上げたまさに天才陰陽師だった」
最初のコメントを投稿しよう!