修学旅行四日目

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刹那「その天才陰陽師が、鬼王を封印したのですね?」 出海は笑って頷く。 出海「それも……、今までにない、いや、今を見てもそうない外道の術をもってな」 刹那「外道の……?」 出海「────そいつは鬼王の魂を人の身に封印したんだ」 それに刹那が驚愕した。 刹那「なっ!? そんなことが可能っ、いや、そもそも赦されるのですか!!?」 護るべき人の身に鬼を封印する外道が! 出海「赦される云々はともかく、可能らしいぞ。人には魂蔵ってのがあってな。人はそれに魂を入れてるみたいだ」 例えば霊魂の憑依というのは一時期その魂蔵に霊の魂を納め、主導権を譲ることで憑依した状態になる。 鬼王の封印はそれを応用したものだ。鬼王の魂を魂蔵に納め、魂蔵に封印式を刻むことで魂を押さえ込む。 出海「ただ、魂蔵は人それぞれに器が違う。ましてや鬼王程の魂を納めるに足る人の魂蔵なんてそうない。 現に数十の封印の失敗により数十の命が失われた」 大抵が膨大過ぎる力と怨念が籠った魂が魂蔵に納めきれず魂蔵を破壊し宿主を殺して外に出る。または、巧く納まっても強大な魂に本来の宿主の魂を呑み込み主導権を奪われてその身から脱け出すという〝実験の失敗例〟が遺された書物には記されていた。 そもそも鬼王の魂を納める魂蔵すら稀な存在なのに、その魂を押さえる魂を持つ人間など普通いない。 出海「だが、そいつは見つけたんだ。鬼王の魂すらも封じるに足る魂蔵の持ち主を」
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