修学旅行四日目

18/30
前へ
/429ページ
次へ
その者は偶然にも都を訪れた若者であった。 研究の末で人の魂蔵を見極める眼を養った陰陽師はすぐに若者に鬼王の魂を封じ込め、幾重の封印式を刻む事に成功した。 しかし、それで完璧とは言わなかった。 何故なら、人には数十年程度の寿命があるからだ。 そういった点においては前回の封印を施した石像に再度封印した方が百年ほど持つ分まだマシであった。 それでも、魂蔵に封印した方が封印式も強く作用するために、そちらを選んだ。 そして、陰陽師は賭に出た。 封印式を刻んだ若者に、及ばずながら相応の魂蔵を持つ女との間で子を生させたのだ。 その賭には勝った。 生まれた子は若者をも凌駕する魂蔵を身に宿していた。 同じく封印の候補であった者同士にも子を生させれば両親に匹敵する魂蔵を子は宿していた。 陰陽師は『強き魂蔵を持つ者の子は強き魂蔵を持つ』という法則を知った。 出海「陰陽師は鬼王を封じ、他の妖を討ち滅ぼした功績により官職を得て、その権限により同様の位と名を若者に与えた」 そこで、話を聞いていた夕映が気づいた。 夕映「もしかして、その若者というのは出海さんの……」 出海「本当に察しが良くて助かるね~、夕映っち♪ その通りだ」 明日菜「どーゆーこと?」 刹那「もしや……」 二人のやり取りに明日菜は首を傾げ、その意味に刹那も気づく。 出海「その若者には『相良』って名が与えられた」
/429ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2682人が本棚に入れています
本棚に追加