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苑はそこでばっと離れ、耳を守るように頭を抱えた。
顔は真っ赤で、目は潤んだように見える。
「なんだよ。まだ調べてないのに」
「だ、ダメです。あれより先はあなたでもダメです。あんな手つきで、あんなにぶっとい指を入れられたらと思うと、それだけで私・・・私・・・」
苑はさらに後ずさり、今度は股の方に手を持って行った。
心なしか、足が落ち着かないようにもじもじしている。
春喜はもちろん何がどうなのかわからないので、もう一度接触を試みた。
「もう、ちゃんと調べないと本物かどうかわからないだろ?それともやっぱ偽モンなのか?」
「うー・・・違いますけどぉ・・・」
苑は責めるような目つきで春喜を見る。
なんだ、俺なんかしたか?
「あー、じゃあいいよ。今度は尻尾調べさしてもらうから」
「えっ!?し、尻尾、ですか・・・」
苑はあからさまに拒絶する姿勢になったが、春喜の無言の重圧に負け、渋々後ろを向き、尻尾を差し出した。
「・・・あ、あなただから触らせてあげるんですよ?特別ですからね?だからせめて優しく扱ってくださいね?絶対ですよ?」
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