金曜日に狐を拾う

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 苑はそこでばっと離れ、耳を守るように頭を抱えた。  顔は真っ赤で、目は潤んだように見える。  「なんだよ。まだ調べてないのに」  「だ、ダメです。あれより先はあなたでもダメです。あんな手つきで、あんなにぶっとい指を入れられたらと思うと、それだけで私・・・私・・・」  苑はさらに後ずさり、今度は股の方に手を持って行った。  心なしか、足が落ち着かないようにもじもじしている。  春喜はもちろん何がどうなのかわからないので、もう一度接触を試みた。  「もう、ちゃんと調べないと本物かどうかわからないだろ?それともやっぱ偽モンなのか?」  「うー・・・違いますけどぉ・・・」  苑は責めるような目つきで春喜を見る。  なんだ、俺なんかしたか?  「あー、じゃあいいよ。今度は尻尾調べさしてもらうから」  「えっ!?し、尻尾、ですか・・・」  苑はあからさまに拒絶する姿勢になったが、春喜の無言の重圧に負け、渋々後ろを向き、尻尾を差し出した。  「・・・あ、あなただから触らせてあげるんですよ?特別ですからね?だからせめて優しく扱ってくださいね?絶対ですよ?」
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