160人が本棚に入れています
本棚に追加
それだったら・・・。
「はぁ・・・」
邪険に出来る訳、ないじゃないか。
春喜は苑の頭をポンと叩き、顔を上げさせた。
今にも泣きそうな顔だったので、自分が泣かしたような罪悪感がわいたが。
「いいよ。恩返ししてくれ」
「え?」
「そのために来たんだろ?」
「そうですけど、でも・・・」
「いいんだよ」
またポンポン軽く頭を叩いてやる。苑はくすぐったそうに縮こまっていた。
「しょうがねぇだろ?俺ももしかしたら忘れてるだけかも知んねぇし、そうじゃなくても何かの縁があったから出会ったんだ」
苑は涙を長い袖でごしごし拭い、真面目な顔で春喜の話を聞く。
「だから、ウチに居たかったら居てくれるか?一人暮らしもつまんねーんだ」
「あ・・・」
「まぁ、出たかったらいつでも出てっていいし、自由にしろってこった」
春喜はそこまで言って、俺なんでこんな恥ずかしーこと言ってんだ?と頬を掻いた。
苑は大きく頷くと、ニッコリ笑って受け答える。
「はい!じゃあ私、ここで恩返しします!ふつつか者ですが、どうぞよろしくお願い致します!」
最初のコメントを投稿しよう!