金曜日に狐を拾う

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 それだったら・・・。  「はぁ・・・」  邪険に出来る訳、ないじゃないか。  春喜は苑の頭をポンと叩き、顔を上げさせた。  今にも泣きそうな顔だったので、自分が泣かしたような罪悪感がわいたが。  「いいよ。恩返ししてくれ」  「え?」  「そのために来たんだろ?」  「そうですけど、でも・・・」  「いいんだよ」  またポンポン軽く頭を叩いてやる。苑はくすぐったそうに縮こまっていた。  「しょうがねぇだろ?俺ももしかしたら忘れてるだけかも知んねぇし、そうじゃなくても何かの縁があったから出会ったんだ」  苑は涙を長い袖でごしごし拭い、真面目な顔で春喜の話を聞く。  「だから、ウチに居たかったら居てくれるか?一人暮らしもつまんねーんだ」  「あ・・・」  「まぁ、出たかったらいつでも出てっていいし、自由にしろってこった」  春喜はそこまで言って、俺なんでこんな恥ずかしーこと言ってんだ?と頬を掻いた。  苑は大きく頷くと、ニッコリ笑って受け答える。  「はい!じゃあ私、ここで恩返しします!ふつつか者ですが、どうぞよろしくお願い致します!」
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