金曜日に狐を拾う

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 「拠点、ですか?でもでも、もしあなたが本当に運命のお方で合ってるのであれば・・・」  「それは日々の『恩返し』とやらでいーわ。どんなことするかは知らんけど」  そうそう変なこともしないだろう、と思いつつ、春喜は頭を掻いた。  「じゃあ、いまんところはそんな感じでいいか」  「はい!私、精一杯恩返ししますっ!」  「・・・馬鹿の一つ覚えか?」  「ば、馬鹿じゃないです!」  またパタパタ現象を起こしながら、苑は一生懸命抗議する。  そんな苑がおかしくって、ひとしきり笑い飛ばすと、改めて右手を差し出した。  「つーことで、どれくらいいるかわからんけど、よろしくな、居候」  「あっ、はい!よろしくお願いします!あれ、さっきも言いませんでしたっけ?」  「何でもいいだろ、んなモン」  立ったままの春喜と、座ったままの苑で、遠慮しながらも、しっかりと握手を交わした。  二人のデコボコな奴らが、ひょんなことから一つ屋根の下で過ごす、最初の瞬間だった。  一一そんな、ある金曜日の、昼下がりの出来事。
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