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「あなたに恩返しに来ました」
いきなりウチをたずねてきた見知らぬ美少女にそんなことを言われた日には、ドッキリとしか思えない。
「・・・はい?」
十中八九、そんなような言葉が出るに決まっている。
ここで『はぁそうですか、それはどうも』なんて対応が出来る奴は、ただの馬鹿だけだろう。
一一ある金曜日の昼下がり。
特段とりわけて特殊な人間ではない大学二年生、榊原 春喜(さかきばら はるき)も、普通に訳がわからない、といった顔をして、彼女を見ていた。
とても綺麗な顔立ちで、しかしどこかあどけなさというか情けなさというか自信のなさが残る表情。
赤みがかった茶髪はセミロングで、途中までストレートなのに、先端あたりはくせっ毛らしく、ぴょいぴょい好き勝手生えている。
見た目の年齢は高校生くらいか。そのせいか、なんとなく先の発言を考慮すると、背徳感を抱いてしまう。
・・・そんな美少女が、アポなしで突然押しかけてきたのだ。アポ?
とにかく、春喜はこんな子は知らない。誰か昔の友人の妹さんとかとも思ったが、そんな交流は全くない・・・はず。
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