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「・・・まぁいいよ、それはそれで。ただね君、なして台所燃えカスにするん?料理出来なくなるでしょ?」
「えぅ・・・でも春喜さん、キッチンは火が点くって言ったじゃないですか!」
「うん、意味が違うね」
つまりフツーに使い方わからなかったんだろうけど、それにしたってウチん中で火ィ焚くバカがいるか。
それでも春喜はいろいろ諦め、もう正常に作動しないであろうコンロを見、憂いを帯びたため息をついた。
「ったく・・・どうすんだよ、自炊も何も出来ねーじゃねぇか・・・」
「・・・ごめんなさい・・・」
獣の耳と尻尾をしゅんとうなだれさせ、心の底から申し訳なさそうにうつむく苑。
そんな顔をされるとなんも言えなくなってしまうのだが、春喜もかねがね溜まり始めてはいた。
それも、苑が今日から早速恩返しの一環として家事を手伝おうとしたものの、すべてこんな具合なのだ。
なんでもかんでも裏目裏目、破壊した家具や家電は数知れず。
まるでちっこい竜巻でも起こったかのような有様の春喜宅であった。
掃除機もバラバラ、炊飯ジャーは原因不明の動作不良、洗濯機は回り続けて止まらない。
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