160人が本棚に入れています
本棚に追加
「いや、わかりゃいいよ・・・」
結局ここまで逆戻り。
まぁ出会って二日目だし、逆にここまでフレンドリーならいい方か?
苑との距離感は未だ掴めぬまま、春喜は短いため息をついた。
「・・・それじゃ、お前なんか他の服に着替えてこい。俺が言いたいのはそれだけだ」
「はい。・・・でも、春喜さん・・・」
苑はどこかおどおどした感じで、春喜のことを恐怖の対象のように見てくる。
ちと言い過ぎたか、と思い、春喜は努めて優しく声をかけた。
「なんだ?怒んねぇから、正直に言えよ」
「はい。えっと・・・」
すると苑は、今度はもじもじして気恥ずかしそうにしながら告げた。
「服・・・貸していただけませんか?」
「・・・はい?」
「私、他に服持ってないんで・・・」
確かに手ぶらでここに来てたしなぁ、とか思いながら、春喜は頭をかく。
「千変万化の術とかもまだ使えないんで・・・ごめんなさい、よろしくお願いします」
「・・・『センペンバンカ』とやらが何かは知らんけど、そんくらいだったらフツーに貸してやるよ、別に気兼ねしなくても」
「ありがとうございます~」
最初のコメントを投稿しよう!