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ゆるゆるとお辞儀する苑を尻目に、春喜は部屋の一角のタンスを探り始めた。
「あー、女の子でも着れる服ねぇ・・・」
そんなに趣味が濃いつもりはないので、どれでも大丈夫な気はするが・・・。
「・・・あの、春喜さん」
今日朝起きた頃に戻った、控えめな声が聞こえてきた。
「んー?」
「あのー、春喜さんはー・・・私みたいな、その・・・女性に、自分の服を着られるのって・・・気にならないんですか?」
「んー、別に?」
適当な服を選びつつ、適当に返事を返す春喜。
「そんな思春期の中高生じゃあるまいし、別にそんなこと気にしねーって」
「・・・もしかして、私が着た後の服を嗅いだり、洗わないで自分で着たりとかするんじゃ・・・」
「・・・お前はアレか?人間不審か?それとも俺を変態かなんかだとでも思ってるのか?」
後々思うが、苑も結構失礼なことを平気で言ってのける奴だな。人のこと言えるか?
「そ、そんなことないですけど・・・その、想像したらしっくりきて・・・」
「いい加減殴るぞ君」
殴る代わりに選んだ服を投げ付けると、苑はそれらを顔で受け止めた。
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