見よ!キッチンは赤く燃えている!

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 「うぶほ」  そのままもみくちゃになって倒れる苑を尻目に、春樹は自分で出かける服を探す。  「あふ・・・何するんですかぁ!」  「お前が服貸せっつったんじゃねぇか。早くトイレとか行って着替えてこい」  ただの一人暮らし貧乏大学生だと、個室なんかねぇ。せいぜいトイレくらい。  すると、苑はすっと目を細め、批難がましい視線を向けてきた。  「春樹さん・・・春樹さんは、女の子にそんなとこで着替えさせて、自分は悠々と広い空間で優雅に着替えるようなそんな人なんですか・・・?」  「・・・お前わかってないみたいだから今一度言っとくぞ。客じゃなくて居候だからな。しかもいまんとこ無償でだからな」  しかし苑の言うこともまぁ一理あるので、非常に癪だが、春樹がトイレ内で着替えることにした。  「ったく・・・注文の多い神様だな・・・」  苛々が再び募ってきた春樹だが、流石に追い出すのは可哀相と思ってしまう時点で甘い奴である。  ・・・で、30分経過。  「あのこはなにをしてらっしゃるの・・・」  春樹の我慢も限界が近かった。  なんで着替えるのにそんなにかかるの?
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