見よ!キッチンは赤く燃えている!

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 女の子がそういうのに時間がかかるっていうのは知ってるけど、あまりにもかかり過ぎる。  たかが洋服・・・って。  「苑ちゃーん・・・」  春喜はあることをふと思いつき、便座に座ったまま壁越しに苑を呼ぶ。  「は、はい、なんですか?」  明らかに焦ったような苑の声に、春喜はもはや確信した。  「お前・・・洋服のきかた知らないだろ?」  「はい?ようふく?」  洋服の発音がおかしい。  春喜は迷わずに扉を開け、苑の姿を見た。  そこには、未だ巫女服なままの苑が、ジーパンの足のところを持って固まっていた。  「あ、いや、これはですね・・・その、深い事情がありまして・・・、」  「いつまでも物音もしないと思った結果がこれだよ・・・君ねぇ・・・、」  ガタガタ震える苑の頭を鷲掴むと、物凄い勢いでぶん回してやった。  「わかんないんならわかんないって早く言えぇぇぇ!臭くて狭い個室で延々待たされる俺の身を考えろぉぉぉ!」  「うにゃあぁあぁあ」  結論、こいつ神じゃねぇ。てかこんな奴が神とか、宗教やってる人報われなさすぎる。そりゃ苑を崇めちゃないだろうが。
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