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一一数時間後、デパートにて。
「うわぁ、明日生きていけねぇ・・・」
財布の中身を確認する春喜が、絶望に満ちたため息をつく。
「元気出してください、春喜さん!そのうちいいことありますよ!」
苑がポンと肩を叩くも、春喜さんからは恨みがましい視線しか貰えません。
「・・・誰のせい?」
「・・・わ、私・・・」
今度は苑がため息をつく番だった。なんか二人して崖から飛び降りそうな雰囲気だし。
・・・あれから結局、苑に洋服のきかたを教えて(それでもちゃんと着替え終わったのがそれからまた30分後)、やっと出かけたのがつい一時間前のこと。
最寄のとこで電化製品を見て回り、性能より値段を重視して選んだ結果、大阪ばりの値切り交渉もあって、なんとか現状を維持した次第である。
が、所詮は貧乏人の懐、それでも経済的ダメージは無視出来ないレベルの被害に及んだ。
残ったのは絶望と、なけなしの生活費だけだった。最低限文化的生活が送れる程度の。
「エンゲル係数も跳ね上がるだろうし・・・やべ、マジで泣けてきた・・・」
涙がこぼれぬよう、上を向いてあるく春喜。
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