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「春喜さん・・・」
横を歩く苑は、そんな春喜の涙を拭ってあげた。
「ごめんなさい・・・でも、私も頑張りますから・・・」
「・・・同情するなら金をくれ」
「・・・」
金しか信じない。こいつの努力など信じられんわ(経験から)。
まぁ泣いてても仕方ないので、春喜は婦人服売り場へと足を向ける。
「あ、あれ?春喜さん、どこ行くんですか?まだ何か買うんですか?」
とててて、と小走りで歩調を合わせてきた苑に、春喜はそっけなく答えた。
「お前の服、買わなきゃなんないだろ」
「・・・ええっ!?そんな、滅相もない!私なんか、春喜さんのお下がりのこれでいいですよ!」
「・・・君は俺の服まで搾取するつもりか」
文字通り追いはぎ、ってやかましいわ。誰がうまいこと言えと。
「でも~・・・お金ないんじゃ・・・」
「まぁそうだけど、そこはどうでもいい。そんなことより、少しは外見気にしろ、属性娘」
「・・・なんですか属性娘って」
春喜は華麗にスルーすると、周りが女性客ばかりなのを居心地悪く思いながらも、苑の服を探し始めた。
「・・・もう、なんなんですか・・・」
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