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春喜は疲れたお父さんみたいにくたびれながら、備え付けのイスに腰掛けた。
「・・・」
疲れたことは疲れたのだが、哀愁を誘う様がなんともお父さん臭い。
ぐでっとしつつ、なるべく下着売り場に視線を向けないよう、ケータイでの作業に没頭する春喜。
「・・・何やってんだろうな、俺」
いきなり現れた狐少女(しかも神だとか言う)に、洗濯機やら冷蔵庫やら壊されたあげく、律義に服まで買ってやっている。
確かにお人よし過ぎるわな。苑ちゃんになんか疑われるのも当たり前だな。
ひとしきり自分を客観的に見ていると、なぜかわらけてきた。
苦笑しつつケータイをいじっていると、ふっと影が射した。
苑ちゃんが帰ってきたか、と顔を上げると・・・、
「あらあら、情けない顔してるわねぇ」
苦笑から憎々しく歪んだ表情になるしかなかった。
「悪かったなぁ、腑抜けで」
「別に悪いだなんて言ってないけどぉ?」
「どっちにしてもイントネーションは最悪だ」
「それはごめんあそばせぇ♪」
春喜宅の隣に住む女子高生は、楽しそうにカラカラと笑った。
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