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「まぁ、それもそぉねぇ」
彼女はカラカラと笑った。春喜は全然笑えなかったが。
そういえば、苑ちゃん帰ってくんの遅いなぁ。そんなに店員さん泣かせてるんだろうか。
そんなことを思っていると・・・ふと、彼女が笑うのを止め、じっと春喜を見つめているのに気付いた。
その目は心なしか、春喜の目から脳味噌の中を覗き見ているようで・・・。
「・・・な、なんだ?」
あまりに異様な眼差しにびくついた春喜は、思わずそう聞き返していた。
すると彼女は、何も言わずにずいと身を乗り出し、春喜に近づいて来た。
「わ・・・っ!?」
春喜はベンチの端っこまで退避したが、彼女はその分近づいてくる。
そうして、半ば春喜を押し倒す形になった少女は、春喜の胸に顔を近付け、鼻をすんすんと鳴らした。
あまりに訳わからない出来事に硬直してしまった春喜など気にせず、彼女はしばらく春喜の服の匂いを嗅いでいた。
そして、顔を上げた彼女は、嫌に艶かしい笑みを浮かべながら春喜に告げる。
「・・・ケモノクサイ」
「は、はぁ!?」
思い当たる節を思い出し、うろたえる春喜。
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