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「な、何を言っているんですかあなたは。俺が?ケモノクサイ?」
「そうよぉ・・・獣の、下品た匂い・・・」
どうしてこいつがこういうことを言うんだと思い、色々思考する春喜だったが・・・。
「まったく・・・外歩くぐらいなら、そういうのは気をつけといた方がいいわよぉ?」
やがて気付いた。
「ま、私は全然気にしないんだけどねぇ・・・こぉのエロエロフェロモン野郎めぇ」
「っの、クソアマ・・・」
そういえば、こいつは『こういう奴』だった。
事あるごとに俺の大事な一人息子をいじめる、そんな女だった。
「・・・あらぁ?どぉかしたぁ?何か深読みし過ぎちゃったぁ?」
「別に!何も!」
春喜は赤面しつつ彼女を払いのける。
彼女はしかしくすくすと笑いながら、妖しく歪めた口元を戻そうとはしない。
「ま、ケモノクサイってのは本当なんだけどねぇ・・・?」
「うっさい!ほっとけ!」
拒絶反応で小学生みたいな低レベルの切り返ししか出来ない春喜。
結局、春喜は負け越した気分にさせられたまま、少女はしなやかな体躯をうんと伸ばしてから立ち上がった。
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