見よ!キッチンは赤く燃えている!

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 「ん?どうかした?」  「いえ、私が服を買いに行っている間に、ペットショップにでも行きました?」  「? いや、行ってないけど。ここそういうとこないし」  「・・・そうですか」  なんでそんなことを聞くのか全くわからなかった春喜は、特に疑念もなく苑に問い返していた。  「なぁ、なんでそんなこと聞くんだ?」  「え?いえ、たいしたことじゃないんです。ただなんとなく・・・、」  「なんとなく?」  急かすように返す春喜に、苑はしかめっ面をして言う。  「ネコクサイんですよ」  「・・・ネコ?」  「はい。いやらしい匂いです」  苑の言うことが見当外れによくわからなかったので、春喜はそれまでとして、やれやれ、と頭を振った。  「・・・とりあえず、買うもん買ったから、今日はもう帰るよ」  「はい、春喜さん。買い物はとっても楽しいです」  「そっか・・・なら今度からお使いは任せるかな・・・」  「はい!もう毎日行っちゃいます!」  「毎日はいいよ・・・」  まぁまず常識を教えるのが先決だけど。  何となく距離が縮まった気がした、帰り道だった。
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