狸、襲来。

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 明らかに自分に向けて呼び掛けているのに、巫女服の苑ちゃんは見向きもしなかった。  「たのも~っ!」  おかげで彼女、無視されてるからか涙声になってきている。  いくら自分ん家が壊されたからって、可哀相と思わざるを得ない春喜だった。  そのため、春喜は道場破りに同情し、代わりに声をかけてやることにした。  「・・・なぁ、苑ちゃん」  「はい、なんでしょうか」  苑は春喜の声にのみ反応し、笑顔で可憐に振り向いた。  なんか女の子って怖いな、と知ってしまった休日の昼。  「そこの子、苑ちゃんに用があるっぽいけど・・・」  「え?ああ、台風でゴミが入って来たと思って放置してました、失敬失敬」  そうして、苑ちゃんはやっと来訪者の方へ向いた。  「で、春喜さん。今日可燃ゴミの日なんですよね」  「ゴミという認識が変わっていなかった!」  苑ちゃん、末恐ろしい子。  「わ、私はゴミじゃなぁいっ!」  そして、やっと彼女はたのもーっ!以外の言葉を発する。  「うわぁ、春喜さん。最近のゴミは喋りますよ」  「そろそろその子泣くからやめときな」
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