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実際、涙目でした。
「くそぅ、馬鹿にしやがってぇ・・・」
そういえばアニメ声な彼女は、目元をごしごし拭うと、春喜に向けて指を指してきた。
「ところであんた!」
「・・・何?」
「別に声かけてくれてありがとうだなんて、思ってないんだからねっ!」
「知らねぇよ・・・」
なにこのあからさまなツンデレ・・・逆に萌えない・・・。
だが、かわいいことはかわいいので、別に問題はない。
「それはともかく、あんたっ!」
「・・・」
今度指指された苑は、つい、と指先の延長線から外れ、一言も発さずに無視した。
「~っ」
彼女がついに泣き始めるのも頷ける、酷い対応だった。
とりあえず春喜は、苑ちゃんがこの子のことはよほど嫌いなんだなぁ、ということだけわかった。
「うわーん、ちくしょー、もう容赦するかぁっ!」
少女は泣きながらポケットに手を突っ込み、何をするかと思えば、結構な大きさの巻物を取り出して来た。
「っ!」
それには流石に苑も反応し、独特の構えを取る。
巻物を構える少女と、野性の獣の如く低く構える苑。
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