金曜日に狐を拾う

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 人にお礼を言うくらいの常識はあるようだ。ならなぜ自分の奇っ怪な身なりについてはノーコメントなのか。  いまいち釈然としない気持ちではあったが、春喜はホイホイ家に招き入れてしまった。  ・・・一応、彼の名誉のために言っておくと、何もやましい思いがある訳ではない。  こんな子をこれ以上近所の人にさらし、今まで築き上げてきた社会的な立場が崩壊するのを防ぐためのことである。  決して、巫女さんハァハァな訳ではない。彼はノーマルです。彼はノーマルですから。  「・・・で、君は誰なの?」  「はい、ですから恩返しのために心を捧げるために参りましたあなたの奴れi、」  「質問を変えようか」  座布団にきちんと正座する巫女さんを見下ろし、春喜はちょっと頭痛がしてきた。  「君は・・・えー、名前はなんつーの?」  「はい。重ね重ね申し遅れましてすみません。私、神森 苑(かんもり えん)と申します」  深々と一礼。春喜もつられてお辞儀する。  「あ、それはどうもご丁寧に。・・・えっと、えんちゃん?」  「はい、叙々苑の苑です」  「・・・そですか」  なんで叙々苑。
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