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「そいで、恩返しってのはどういうことなのかな」
「はい。私はあなた様に助けられたので、その恩返しです」
「助けたって・・・俺が?君を?」
「はい。そうですけど・・・」
はて。俺は生涯、年下の巫女さんを助けた覚えはないのだが。
さっそく詰まっていると、苑と名乗る少女が、不思議なことを呟いた。
「・・・あ、でも、私のこと知らないのは当然かも知れません」
「? どういうこと?」
「私、狐でしたから」
「・・・はい??」
「その頃はまだ人に化けられなかったので、狐の姿でしたから、そりゃわかりませんよね。ごめんなさい」
春喜がよくわからないのにも関わらず、苑はぺこりと頭を下げる。
いよいよもって春喜はうーんと唸り始めた。
「えーと、つまり君は狐?の頃に助けられたご恩を返そうとやってきた巫女さん・・・あれ?なんかごちゃ混ぜ・・・わけわかんねぇ・・・」
「あぁ、服装は最初に支給されるようなものですから。ちなみに私はおいなりさんです」
「オイナ・リサン・・・アイヌ語かなんか?」
「違いますよ!おいなりさんです!」
いきり立つ苑。
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