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手をぱたぱたして抗議する苑は、ちょっと涙目である。
「しっかし、いきなり現れた巫女さんに、私は狐だ神だって言われてもねぇ・・・普通、信じらんねぇっしょ・・・」
「ううっ・・・そうですけど」
苑も自覚はあったらしい。よくわからないが。
「はぁ・・・あのさ、本当に何か証明するものとかないの?神の奇跡!とか言う感じのさ」
「う、うーん・・・私、霊術の類いはまだ上手く出来ないんですが・・・」
あれか、自称マジシャンが今日調子悪いんですって言うやつか。
「あ、でもでも!この耳!耳です!尻尾も!これ本物です!」
苑は依然必死な様子で、自分の茶色い獣耳と尻尾を指差す。
「・・・ウッソだろ。付け耳じゃないの?」
「ほ、本物です!なんならその・・・さ、触ってもいいです・・・けど・・・」
なぜか言葉が濁るが、苑はおずおずと頭を向けてきた。
その頭から生えた、二本の獣耳が、どうぞと言わんばかりにぴょこんと飛び出している。
「んー・・・それじゃあ一応触らしてもらうけど・・・」
「あ、でもその、あんまり乱暴にしないで下さいね?そこはデリケートですからなるべく優しく、」
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