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『とあるパチンコ店にて…。』
『あぁー!!今日も負けたわ。』
ともえは、パチンコ好きの主婦である。
幼稚園の息子の同級生の奥さんと生まれて始めてパチンコへ行き1日にして十万円以上の大勝をしてからというもの、すっかりパチンコにハマっていた。
とはいうものの、最近では敗けが込み、マイホームや将来の息子の学費等の為に節約して貯めた定期預金までも切り崩しては時間さえ有ればパチンコに勤しむ毎日だった。
『あと、1万あれば勝てたのになぁ~。』
ともえは、悔しそうに言った。
そんな時である。
『姉さん、これ使いなよ。』
隣でパチンコを打っていた。
30歳位の若い男が1万円のパッキーカードを差し出してきた。
『いや、でも…。』
と、ともえはその男からの施しを断ろうとしたが。
『その台もうすぐ出そうじゃん。出たら返してもらえば良いからさ。姉さんもこの店の常連さんでしょう?』
確かにともえにとって、この男は初見の人間ではない。
ともえがパチンコ店に訪れると必ずといっていいぼどパチンコ店にいる人間だった。
何の仕事をしているのかは解らないが、身なりも綺麗でともえが手が出る程欲しい何十万円はするであろうブランド物の手提げバックを持っていた。
しかも、この男の台は、調子が良く五箱のドル箱を積み上げていた。
『いいよ♪いいよ♪』
男は、笑顔でパッキーカードをともえに差し出している。
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