Drive

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これでいい。 自信有り気に、レイは笑った。 レイジングなど、使えなくとも構わない。 今の自分なら十二分に渡り合えるはず。 「準備は、もういいんですか?」 「……ああ」 レイの問いに、ハイドが短く答える。 彼の眼には、強い光が宿っていた。 「……じゃ、そろそろ休憩は終わりですね……」 独り言のようにそう言ってから、レイは大きく息を吸い込む。 そして、溜めこんだ息を爆発させるように叫んだ。 「――――行くぞハイドォォオオオ!!」 ぐっと重心を落とし、一気に加速する。 風を切り裂かんばかりの渾身の一撃は、歯を食いしばったハイドの剣に止められた。 一際大きな金属音が鳴り、衝撃で周囲の空気が吹き飛ぶ。 「ぐっ……!」 「ぬうっ……!」 同時に呻く二人。 衝撃から先に回復したのはハイドだった。 その場で大きく地面を踏みつけ、剣を振り下ろしてくる。 ――まともには受けられない! 力関係が試合開始時と同じ状態に戻ってしまった事は、今の激突で理解できた。 レイは横向きにかざした刀の切っ先を下げ、重たい一撃を受け流す。 同時にハイドの剣が流れる方向と逆に飛びのき、腕のさらに負担を減らした。 そして着地と同時に刀を振り、緋色の三日月を縦に放つ。 「――くっ!」 ハイドの悪態が耳に入る。 だが、流石にレイジングでかなり強化されているようだ。 ハイドはそれをギリギリのところでかわし、手のひらから火の玉を放ってきた。 ――でかい! レイは思わずその大きさに目を見張る。 ハイドの手に現れてから撃たれるまでの僅かな間に、それは人一人を飲み込むほどの大きさに膨れ上がっていた。
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