The antagonizers

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トーマがハイドの剣戟を刀で柔らかく受け止め、そのまま手首を捻り刀を振り上げてハイドを放り上げたのだ。 相手の力を利用する、合気術と呼ばれる技である。 が、それは本来素手で行うもの。 剣を用いた合気術など聞いたことが無い。 ――いきなりやってくれますね。 レイは仕方なく横一閃に緋閃を放った。 威力も速度も以前のものとは比べ物にはならない一撃。 速さで言えば以前の二倍は速い。 しかしトーマはそれも易々と飛び越えてしまった。 まるで初めから来るのがわかっていたかのように、平然と。 だがトーマが着地したところに、今度は軽く飛び上がったハイドが呻くような声を漏らして長剣を振り下ろす。 「こんの野郎――!」 いなされたのが余計に彼を煽ったのだろう。 鬼の形相で斬りかかるハイド。 しかし刀の柄尻が上に、切っ先が斜め下に来るようにしてトーマが受け止めると、ハイドの剣はそれに沿うようにして滑り、逸れていった。 そして間髪入れず蹴り飛ばすトーマ。 同時に、レイに向かっても右手から白く細い魔力を撃ってきた。 『隙を突ける!』と今まさに踏み込もうとしていたレイは、すんでのところで身を捩じらせてかわす。 「反応が遅えぞ」 予想外の声にハッと顔を上げると、トーマはすぐ目の前にいた。 攻撃に気を取られ相手から注意を逸らしてしまえば、魔力感知も働きはしない。 しかしそこは生身の身体、今のレイにとってトーマの斬撃は思いの外軽かった。 受け止め、押し返して飛び退く。 ――いつの間に、あんなに接近を許していたんだろう? 刀を握る力が、思わず強くなった。
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