2、頼み

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そして今に至る。 ちなみに、ライルは先に自分の名前だけ言った。 「それでさっきの、ロックオンについての話を・・・」 「あっはい。」 ライルは貰ったお茶を一口飲んだあと、背筋を伸ばし真剣な表情をして喋り始めた。 「では改めて、俺は『ライル・ディランディ』と言います。ニール、あなたの生前の恋人だったコード・ネーム、ロックオン・ストラトスとは双子で俺は弟、ニールは兄にあたります。」 それを聞いて刹那は呆然とした。 「ロックオンに・・・弟なんていたのか・・・。家族は全員死んだって・・・」 「はい。確かに家族は死にました。けど、俺とニールだけは奇跡的に生き残りました。」 「・・・信じられない。」 「でしょうね。俺とニールは家族が死んでからそれぞれ親戚の家に引き取られました。20才の頃に再会し、ニールが死ぬまでちょこちょこと会っていました。」 「・・・そうか。」 (ロックオンが時折嬉しそうに地上に降りていった意味がようやく分かった。) 刹那は少し冷静になり、ロックオンがトレミーにいた時の不可解な表情を思い出す。 会いに行く前日には嬉しそうにカレンダーを見ていたロックオン。 それはまるで、小学生が遠足に行くのを心待ちにしている様な姿だった。 大人げない・・・といつも一言漏らす刹那だが、本当は『何かあるのか?』と言いたかった。 だが、恋人の嬉しそうな表情を奪うほどガキじゃないと思い、あえて聞かなかったが、今ようやくその真実を知って内心ホッとした。
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