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ぎゅっ、と眉を寄せてルーイを睨む彼女の立つ場所は、柱の影になっている。
少女はルーイの言葉に苛立ちながら、吐き出すように呟いた。
「……なんで?分かんない。仲、良かったじゃん。なんで!?」
困惑と憎悪に満ちた目を向けられるが、それでもルーイは彼女が愛しかった。
親友の形を遺したその姿が、切ないほど眩しい。
「こっちに来て、顔を良く見せてくれ。
おれも、話をしなきゃいけないと思ってた」
ルーイの言葉に、少女が剣すらりとを抜いた。
「あたしは!パパの仇を打ちに来たんだ!ルーイ兄の嘘つき!裏切者!」
少女は大きく剣を振りかぶるとルーイめがけて駆けた。
見覚えのある太刀筋、そうだ、ジェイが教えていた。
ルーイは自分に向かってくる刃物を見つめていた。
それすらも、抱きしめたいほど愛しい。
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