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その国では、内乱が起きていた。
金髪と過度な装飾を嫌い、自然さとシンプルさを良しとするその国は現在、王は病で意識不明。
二番目の王子が代わりに政治を主導してる。
正式な跡取りである一番目の王子は、病弱だった上に半年前のテロでさらわれ行方不明である。
最近その一番目を名乗る金髪の男が、巷を騒がせている。
内乱の首謀者だ。
彼の背には精巧で精緻に彫られた王家の紋章があり、それは意識不明の王が定めた王位継承権の証と酷似していた。
国の禁忌とされる金髪にその紋章。
国中に混乱を招くその男を、国は躍起になって捕まえようとしていた。
緑豊かな首都から外れた、工業地帯。
油臭く危険を伴うその地域は、少し前まで金髪が人夫として酷使されていた。
「……ルーイ!来たぜ!」
コンクリートで四角く固められた建物の一角に、金髪の男が飛び込んできた。
入口付近にいたルーイは、それを聞いて奥に目をやりながら駆け出した。
「行ってくる。ジェイ、ここは頼んだ」
「おお、任せとけ」
その声を背中に聞き、呼びにきた男についていく。
ここは要だ。
後ろはジェイに任せて、うって出る。
あと少しでここも取れる。
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