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外に出ると油臭さが一層強くなる。
駆けながらルーイは呼んだ。
「ロス!おまえはこっちだ!ディはジェイについてくれ」
外で見張りをしながらジャンケンに興じていた二人は、その声でぱっと二手に分かれた。
どう動くかは十分に打ち合わせてある。
ジェイとディなら、背後は万全だ。
ついてきたロスが、ルーイと走る男に聞いた。
「そっちから来たかあ!どんくらい来た?ああ?」
「……なんか凄い武器もってきてる。なのにおれたちを説得?しようとしてて」
「何をしてきた?」
「拡声器で呼びかけてきた」
ロスが大声で笑いだし、走りながらなので途中むせる。
その背中をぱん!と叩いてルーイは先を急いだ。
相手に焦りが見え、内心ほくそ笑む。
今さら国の説得に応じられる程甘い仕打ちは受けていない。
そんな金髪達を集めて今に至るのだ。
ルーイの仲間は、打倒王家を目的に着実に増えていた。
大きくなりつつある勢力に国も攻撃の手を強めつつある中、懐柔策を繰り出してきた軍がルーイにはおかしかった。
ここも勝てるな、と胸中で呟く。
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