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「1ヶ月、僕のシンデレラになりなさい」
・・・シンデレラ?
シャンデリアじゃなくて?
あ、あれだろ。
あのシャンデリア10回言ってみって言われて、10回言って「じゃ、毒リンゴ食べたのは?」って言われて「シンデレラ!」って答えるあのイタズラだよな?
あれ、1回はやられるんだよなー。
「和泉様、現実逃避は止めてください」
俺の真横に、背筋を伸ばしてピシッと立つ魚住さんの冷静な一言で我に返る。
「えっ・・・あの、何言ってるかちょっと意味がわからないんですけど・・・」
「おや?じゃもう1回言うよ。バイトで僕のシンデレラをやりなさい」
「そこじゃないよ!!意味のことを言ってんだよ!!」
「理人さん、1ヶ月という期間を言うのを忘れてますよ」
「アンタも違うよ!!どこに着目してんだ、アンタらっ!!」
「困ったねぇ。大学生なのに、理解力がないのか。それじゃあ、毎日の講義が大変だろうに」
「余計なお世話だ!!そうじゃなくて!!シンデレラっていうことに言ってるんだっつーの!!」
何処のどいつが、急にシンデレラになれって言われて納得できるかっ!!
フーフーと毛の逆立った猫のような俺に、男はフッと口元を緩めた。クツクツという喉を鳴らす音が聞こえる。
「いやいや、和泉くん。これはれっきとしたバイトだよ」
「バイト?」
「君、代行屋のバイトをしているんだろう?」
うっ・・・!
なぜそれをっ!
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