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まるで突き刺さるような鋭い視線は、とてつもなく気になるけど・・・。
顔を180度背けて、目を合わせないようにする。
なんか、ものっそい、気まずいんですけど。
女の前を通りすぎようとすると、こちらをじっと見ていた女の唇がゆっくりと開く。
「失礼、」
ぎっくり、と肩をびくつかせてしまう。
俺じゃないかも、っと無視しようかと思ったが。
女の目は明らかに俺を捕らえている。
オイオイ、何なの一体。
バイトに遅れるかもしれないのに!!
内心、びくつく気持ちとイラつきが交差しながらも女に振り向く。
眼鏡をした、真面目そうな面持ち。
ひっつめてる黒くて長い髪。
黒いスーツ着てるから、いかにも有能な秘書です!って感じ。
カチャリと片手で眼鏡を鼻柱へと押し戻す。
「伊藤和泉様・・・でいらっしゃいますか?」
「へ・・・?」
ズルッと肩の力が抜ける。
な、なんで俺の名前を・・・?
困惑しながらも
「・・・・そうですけど?」
って言う。
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