はじまり

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幼い頃、何度も読んだ絵本がある。 「キラキラきらりん」 星の子の冒険の話。 何話かシリーズ化してたけど、俺の一番好きな話はきらりんが光を失って地に落ちてしまう回。 「キラキラきらりん 空を見上げる みんなはあんなに輝いてるのに どうしてボクだけ輝けないの? どうしてボクだけキラキラじゃないの?」 悲しくって。 淋しくって。 泣いてるきらりんを見たお月さまが、こう言うんだ。 「きらりん 自分の光は一番、気付きにくいもの 輝き方はみんなそれぞれ よく見てごらん 君だって 私から見ればキラキラ 眩しく輝いているんだよ」 そうして。 自分の輝きに気付いたきらりんは、また星空に戻って行く。 誰にも負けないキラキラをまとって。 自分もいつか、きらりんみたいに輝けると思っていた。 その輝きを誰かが見つけてくれると思ってた。
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