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「あっ。悪ぃ!柴田、ありが・・・っつ」
赤くなった顔を見られたくなくて慌てて離れようとしたら不意に右足首辺りに痛みが走った。
「光琉!」
橘が伸ばしてくれた手を俺は掴み損ねて盛大な尻餅をつく。
痛いし恥ずかしいし心臓はバクバクいってるし。
いたたまれなさで一杯の俺の腕を掴んで、再び柴田が立ち上がらせてくれた。
「大丈夫か?」
柴田の問いに俺が頷いて痛まない左足でしっかり立ったのを確認すると腕から温もりが離れていった。
「ひか・・・」
「長谷川!」
橘が俺の名前を呼ぼうとしたのに気付いて、俺は遮るように長谷川を呼んだ。
気付いた長谷川が一瞬だけ橘に視線を向けて駆け寄ってくる。
「なに?」
「右足、ひねったみてー。このまま保健室行くから先生に伝えといて」
それだけ言ってサッサと扉に向かう。
「1人で平気か?」
長谷川の問いには背中越しに手を振って意思を伝える。
体育館の扉から出るまで橘の視線を感じてた。
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