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HRが終わって柿沼はクラスメートに取り囲まれていた。 転入生の宿命というか。 まぁ、こうなるわな。 隣の席だから嫌でも会話が聞こえてくる。 ってか誰だよ、俺の机に腰掛けてる奴。 ムッツリ頬杖ついたまま聞くとも無しに、耳は転入生の声を追いかけてしまう。 「柿沼君、前はどこの学校に居たの?」 「うーん、知ってるかな。北城高校ってとこ」 「えー!名門男子校じゃん。頭いいんだー」 「そうでもないよ。結構ピンきりだし」 「えー、じゃあ彼女とかいないのー?」 「あはは。男子校で彼女はまずいでしょ」 そうだねーと言い合い女子がきゃっきゃと笑った。 そつの無い返答。 あしらい方を知っている笑顔。
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